Gravity compensation mechanism
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重力方向に回転移動するリンク機構には出力・重量比を大きく出来ないという構造上の欠点がある.すなわち,アクチュエータが駆動トルクだけでなく自重に釣り合う保持トルクも発生しなければならないため,高応答性や高出力を得ようとすると,アクチュエータを含む装置全体が急激に大型化・重量化して,設計上の悪循環に陥る.この問題を解決するためには回転対偶に生じる自重トルクを機構的にゼロとする機械設計方法が有効である.産業用ロボットや建設機械にみられる,カウンタ・ウエイト,照明器具や製図装置にみられるばねリンク機構がこれにあたる.
カウンタ・ウエイトは,リンク自重が回転対偶まわりに発生する力のモーメントを回転対偶の反対側に負荷を設けて打ち消す方法である.この方法を多関節マニュピュレータに適用する場合には,総重量と慣性モーメントの増加による加速度性能の低下,リンクの後端に装置が配置することによる実装上の制約に留意する必要がある.ばねリンク機構は,リンクの姿勢変化を利用してばねに張力を発生し,関節まわりの自重トルクを打ち消すものである.しかし,一般的にこの種の機構は関節に摩擦抵抗を付加することで静止させている.そのため,一定の角度範囲でしか正確に補償トルクを発生できず,角度によってはリンクの動作に抵抗力が発生してしまい,効率的ではない.引っ張りばねなどのポテンシャル要素による補償力を,ワイヤ,チェーンやタイミングベルトなどの部材の張力を利用して伝達すると.ワイヤの滑りや伸びにより機械剛性が低下するという実用上の問題が避けられない.また,大型装置の自重補償を行う場合は,ワイヤ屈曲点での磨耗や摩擦が無視できないため,安全性の低下や,完全な機械的自重補償の維持に問題が生じる可能性がある.これらの方法の問題点を改善するために,任意姿勢でのリンクの自重を機械的に完全に補償する自重補償装置を研究している.その一例を上図に示す.機械剛性が高い,故障が少ない,安全性が高いなどの性質を備えた実用性の高い自重補償装置である.
カウンタ・ウエイトは,リンク自重が回転対偶まわりに発生する力のモーメントを回転対偶の反対側に負荷を設けて打ち消す方法である.この方法を多関節マニュピュレータに適用する場合には,総重量と慣性モーメントの増加による加速度性能の低下,リンクの後端に装置が配置することによる実装上の制約に留意する必要がある.ばねリンク機構は,リンクの姿勢変化を利用してばねに張力を発生し,関節まわりの自重トルクを打ち消すものである.しかし,一般的にこの種の機構は関節に摩擦抵抗を付加することで静止させている.そのため,一定の角度範囲でしか正確に補償トルクを発生できず,角度によってはリンクの動作に抵抗力が発生してしまい,効率的ではない.引っ張りばねなどのポテンシャル要素による補償力を,ワイヤ,チェーンやタイミングベルトなどの部材の張力を利用して伝達すると.ワイヤの滑りや伸びにより機械剛性が低下するという実用上の問題が避けられない.また,大型装置の自重補償を行う場合は,ワイヤ屈曲点での磨耗や摩擦が無視できないため,安全性の低下や,完全な機械的自重補償の維持に問題が生じる可能性がある.これらの方法の問題点を改善するために,任意姿勢でのリンクの自重を機械的に完全に補償する自重補償装置を研究している.その一例を上図に示す.機械剛性が高い,故障が少ない,安全性が高いなどの性質を備えた実用性の高い自重補償装置である.